大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和37年(ワ)1902号 判決

原告

エマンテ工業株式会社

右代表者代表取締役

田中正市

右訴訟代理人

唐沢高美

(ほか二名)

被告

森田医療品株式会社

右代表者清算人

伏見保

右訴訟代理人弁護士

浜本辰夫

主文

一  被告は、原告に対し、金百十三万九千百円及びこれに対する昭和三十七年三月二十日から支払ずみに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告のその余の請求は、棄却する。

三  訴訟費用は、これを三分し、その二を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。

四  この判決は、原告勝訴の部分に限り、仮に執行することができる。

事実

第一  当事者の求めた裁判

原告訴訟代理人は、「一 被告は、原告に対し金二千九百万円及びこれに対する昭和三十七年三月二十日から支払ずみに至るまで年五分の割合による金員を支払え。二 訴訟費用は、被告の負担とする。」との判決並びに仮執行の宣言を求め、被告訴訟代理人は、「原告の請求は、棄却する。訴訟費用は、原告の負担とする。」との判決を求めた。

第二  当事者の主張

(請求の原因等)

原告訴訟代理人は、請求の原因等として、次のとおり述べた。

一  次の特許権は、田中正市及び崎山晃の共同出願に係り、原告は、昭和三十四年二月二十日同人らからその特許を受ける権利を譲り受け、同年三月七日出願人名義の変更届出をしたが、出願公告後の昭和三十五年三月二十九日、大阪エマンテ株式会社(以下「大阪エマンテ」という。)に右特許を受ける権利を譲渡し、大阪エマンテは同年四月二十七日特許庁長官にその旨の届出をした。大阪エマンテは特許権設定登録後の昭和三十五年十二月二十八日、田中正市にこれを譲渡し、昭和三十六年二月四日その旨の登録を了したものである。

特許番号 第二六九、一二一号

発明の名称 磁気バンド

出  願 昭和三十二年四月二十七日

出願公告 昭和三十四年七月二十三日

登  録 昭和三十五年十二月十五日

二  本件特許権の特許公報の「特許請求の範囲」の項の記載は「本文に詳記する様に鈑状の永久磁石を多数個配列して、人体に着脱し得る様適当の材料をもつてバンド状に構成し、、N・S極が交互になるようにした磁気バンド」となつている。

三  本件特許発明の要旨及び作用効果

(一) 本件特許発明の要旨は、次の(1)から(3)の要件を結合した磁気バンドの構造にある。

(1) 鈑状の永久磁石を多数個配列すること。

(2) 永久磁石の配列は、人体に自由に着脱しうるよう適当の材料をもつてバンド状に構成すること。

(3) 永久磁石の配列は、N・S極が交互になるようにすること。

なお、本件特許の出願当初の「明細書の特許請求の範囲の項の記載が、被告主張のとおりであり、それが昭和三十四年一月二十二日付の訂正明細書により前記特許公報に記載してあるとおりに訂正されたことは認めるが、これは何ら明細書の要旨を変更するものではない。すなわち、当初の明細書にいう「血行調整物体」は、磁石を多数個配列してバンド状に構成したものであり、訂正明細書にいう「磁気バンド」と同義ないしはそれより広い概念であり、当初の明細書に「フエライト磁石の様な少くとも一、五〇〇乃至二、〇〇〇エルステツド以上の抗磁力を有する鈑状の永久磁石」及び「人体に磁力線を滲透する様にした血行調整物体」とあるのを、訂正明細書において、「鈑状の永久磁石」及び「磁気バンド」とそれぞれ訂正したのは修飾文言を省いただけで、当初の明細書にないものを加えたものではない。また、訂正前の明細書において、「N・S極を交互に着磁して此れを装着し」とあるのを、「N・S極が交互になる様にした」と訂正したのは、同文意であること明白であり、いずれも要旨の変更ではない。

(二) 本件特許発明の作用効果は、次のとおりである。

(1) 鈑状の永久磁石を多数個配列して、N・S極が交互になるようにしてあるため、磁石の保磁力、残留磁気ともに大きく、磁気バンドを使用する人体部分において広範囲の血管に磁力線を及ぼしうること。

(2) 携帯便利なバンド状になつているため、使用者は活動しながら長時間連続使用することが可能となり、したがつて、長時間人体に磁力線を及ぼしうること。

(3) その結果、磁力線の人体に及ぼす有効性を利用して血液循環を促進させ、いわゆる血液循環の障害によつて生ずる各種の病気を最も効果的に治療しうること。

四  被告の販売に係る磁気バンド(商品名「スチール磁気バンド」)の構造は、別紙第一目録(以下「本件物件」という。)のとおりである。

五  本件物件の特徴

本件物件の特徴は、次のとおりである。

(1) 内面だけを着磁した鈑状の永久磁石(ただし、磁気は多少面にまで及んでいる。)を収納した函八個を適当な間隔をおいて配列していること。

(2) これらの函を人体に自由に着脱しうるよう伸縮自在の連結機構を有する時計バンドにより連結していること。

(3) 永久磁石の配列は、N・S極が交互になるようにしていること。

六  本件特許発明と本件物件との比較

(一) 本件物件は、磁気バンドであり、本件特許発明の要旨を構成する前記各要件をすべて具備し、かつ、同一の作用効果を有するから、本件特許発明の技術的範囲に属する。

(二) 被告は、本件物件と本件特許発明との相違点として、(1)バンドの連結機構の点、(2)磁石の内外面ともに着磁しているかどうかの点及び(3)永久磁石を函状主体に収納しているかどうかの点を挙示(被告の答弁等第六章の(一)の(4)から(6))するが、バンドの連結機構、磁石の内外面ともに着磁する点及び永久磁石をバンド自体に収納して配列するか、函主体に収納して配列するかの点は、いずれも本件特許発明の構成要件外のことに属するから、この相違点があるからといつて、本件物件が本件特許発明の技術的範囲に属しないということはできない。

なお、仮に本件特許発明の要旨を、被告主張のように当初の明細書の「特許請求の範囲」の記載に従うと解しても本件物件はフエライト磁石を使用しており、フエライト磁石の性質からいつて本件物件に使用の磁石が一、五〇〇ないし二、〇〇〇エルステツド以上の抗磁力を有することは明らかであり、その他の被告主張の相違点(被告の答弁等第六項の(一)の(2)及び(3))は、本件特許発明の右の要旨とは関係がなく、本件特許発明の要旨の全部を具備するから、その技術的範囲に属するものである。

(三) 被告は、本件物件が登録第五七九、二〇一号及び登録第五七九、二〇四号実用新案の実施品であるから、本件特許権を侵害するものでない旨主張(被告の答弁等第六項の(二))するが、右の登録実用新案はいずれも本件特許権より後に出願され、いずれも本件侵害行為の後に出願公告となつたものであるし、また、本件物件が本件特許発明の技術的範囲に属する限り、本件物件はこれら登録実用新案の実施品であるかどうかに関係なく、本件特許権を侵害するものである。

(四) また、被告は本件物件が本件特許権の出願前の出願に係る被告の有する登録第五六六五、九八号実用新案の実施品であるから、本件特許権を侵害するものでない旨主張する(被告の答弁第六項の(五))。原告は、被告が右実用新案権の権利者であることは認めるが、本件物件と右登録実用新案とを対比すると、本件物件は右の登録実用新案における「窓孔21」及び「板ばね2」を欠く点及び本件物件の磁石がカバーによつておおわれている点において、右の登録実用新案と構成を異にするほか、右登録実用新案の要旨外の「鈑状の永久磁石を多数個配列して、N・S極を交互にする」という構成をとるものであるから、右登録実用新案の実施品ということはできないのみならず、右登録実用新案は、本件侵害行為の後の出願公告に係るものである。

仮に、本件物件が右登録実用新案の実施品であるとしても、右登録実用新案は、当初、単に数個の「装飾体」を伸縮自在の金具をもつて連結し、バンド状に構成した「リンクバンド」として特許出願されたのを、昭和三十五年八月二十九日実用新案登録出願に変更し、昭和三十六年七月十二日付訂正説明書により前記の「装飾体」を、「有磁性装飾体」に、また、考案の名称「リンクバンド」を、「有磁性バンド」とそれぞれ改めることにより登録査定となつたもので、これは要旨を変更したものであるから、右登録実用新案は前記訂正説明書を差し出した日又は早くとも出願の変更をした日に登録出願したものと認むべきであり、したがつて、右登録実用新案は本件特許権の出願より後の出願となるから、本件特許権を利用しなければ実施しえないものである。

七  損害賠償請求

原告は、昭和三十四年七月二十四日から昭和三十五年三月二十八日までの間及び同年四月一日から同月二十六日までの間、本件特許発明の出願公告による権利(以下「仮保護の権利」という。)を有し、また、大阪エマンテは昭和三十五年三月二十九日から同月三十一日までの間及び同年四月二十七日から同年十二月十四日までの間、本件特許の仮保護の権利、同年十二月十五日から同月二十八日までの間、本件特許権を有していたものであるところ、被告は本件物件の製造、販売が本件特許権又はこれが仮保護の権利を侵害することを知り、又はこれを知りえたにかかわらず、過失によりこれを知らないで、昭和三十四年七月二十四日から昭和三十五年十二月二十八日までの間において、本件物件を製造、販売して、原告及び大阪エマンテの有する前記仮保護の権利又は本件特許権を侵害し、右侵害行為により、原告及び大阪エマンテはそれぞれ次のとおりの損害を蒙つたものであるから、被告は原告及び大阪エマンテが受けた右損害を賠償する責任があるものである。すなわち、

(一) 被告は、昭和三十四年七月二十四日から昭和三十五年三月二十八日までの間及び同年四月一日から同月二十六日までの間において、本件物件二十万本以上を製造、販売したが、当時、磁気バンドの使用は一種の流行であつたから、もし、被告のこの侵害行為がなかつたならば、原告は、右期間、同数の本件特許発明に係る磁気バンドを販売しえたものであり、当時、原告は磁気バンド一本当りにつき金百円以上の純利益をあげていたから、原告は被告の前記侵害行為により、少なくとも金二千万円の得べかりし利益を失い、同額の損害を蒙つた。

(二) 被告は、昭和三十五年三月二十九日から同月三十一日までの間及び同年四月二十七日から同年十二月二十八日までの間において、本件物件九万本を製造、販売したが、前同様の事情から、もし、被告の侵害行為がなかつたならば、大阪エマンテは、この期間、同数の本件特許発明に係る磁気バンドを販売しえたものであり、大阪エマンテは、当時、磁気バンド一本当りにつき金百円以上の純利益をあげていたから、被告の右侵害行為により、少なくとも金九百万円の得べかりし利益を失い、同額の損害を蒙つた。

(三) 大阪エマンテは、昭和三十七年一日十日前記被告に対して有する損害賠償債権金九百万円を、原告に譲渡し、昭和三十八年十月二十一日到達の内容証明郵便で、被告に対し、右譲渡の通知をした。

(四) よつて、原告は、被告に対し前記損害賠償債権合計金二千九百万円及びこれに対する不法行為の後である昭和三十七年三月二十日から支払ずみに至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

八  被告の答弁等第八項について。

被告主張の事実のうち、本件特許権に対し、特許無効審判の請求がされ、現在特許庁に係属中であること、及び被告主張の登録実用新案についての出願から登録までの経緯が被告主張のとおりであることは認めるが、その余は否認する。

本件物件は、前記のとおり右登録実用新案の実施品でないし、仮にその実施品であるとしても、右登録実用新案は要旨を変更したもので、本件特許権より後の出願というべきであるから、本件特許権を利用しなければ実施しえないものであること前記のとおりである。

(答弁等)

被告訴訟代理人は、答弁等として、次のとおり述べた。

一  原告主張の第一項の事実のうち、本件特許権の特許番号、発明の名称及び出願、出願公告、登録の各年月日が原告主張のとおりであること、並びに原告が昭和三十四年七月二十四日から昭和三十五年三月二十八日までの間、本件特許発明につき仮保護の権利を有していたことは認めるが、その余は否認する。

二  同第二項の事実は、認める。

三  同第三項の事実について。

(一) 同項(一)の事実は、否認する。

本件特許権の特許出願の願書に添附した明細書は、昭和三十四年一月二十二日付訂正明細書により訂正され、右訂正後の明細書の「特許請求の範囲」の項の記載は、原告主張の特許公報記載のとおりであるが、右明細書の訂正は当初の明細書及び図面に記載された技術的範囲を拡大し、あるいは、発明の対象を変更したものであり、出願の要旨を変更したものというべきであるから、本件特許発明の特許請求の範囲は、出願当初の願書に添附した明細書の「特許請求の範囲」の記載に従うべく、この記載によると、本件特許発明の要旨は、「本文の説明と図面によつて明らかな様にフエライト磁石の様な少くとも、一、五〇〇乃至二、〇〇〇エルステツド以上の抗磁力を有する鈑状の永久磁石を多数配列して手首、脚首又は腰部に自由に着脱する様鎖又はビニール等を以てバンド状に構成し、N・S極を交互に着磁して此れを装着した人体に磁力線を滲透する様にした血行調整物体」である。

(二) 同項(二)の事実は、知らない。

四  同第四項の事実は、認める。

五  同第五項の事実は、否認する。

六  同第六項の事実は、否認する。

(一) 本件発明の要旨は、前記のとおり当初の明細書の「特許請求の範囲」の項の記載によるべきところ、これと本件物件とを対比するに、本件物件は次の諸点において、本件特許発明と相違し、本件特許発明の技術的範囲に属しないものである。すなわち、

(1) 本件物件は、本件特許発明のように、フエライト磁石のような少なくとも、一、五〇〇ないし二、〇〇〇エルステツド以上の抗磁力を有する鈑状の永久磁石多数を配列していないこと。

(2) 本件物件は、本件特許発明のように、脚首又は腰部に自由に着脱するように鎖又はビニール等をもつてバンド状に構成してないこと。

(3) 本件物件は、本件特許発明のようにN・S極を鈑面に交互に着磁して、これを装着した人体に磁力線を滲透するようにした血行調整物体ではないこと。

(4) 本件物件は、本件特許発明と異なり、上下構成A、B、連結子D、有磁性装飾体E及び板ばねC、Cによる連結機構を有すること。

(5) 本件特許発明における永久磁石は、内外面とも着磁し、その磁力線は内外に及ぶのに対し、本件物件にあつては、内面だけ磁着し、磁力線は内面にのみ発生すること。

(6) 本件特許発明は、前記のような鈑状の永久磁石をバンド自体に多数埋没の手段によつて配列しているに対し、本件物件はバンド自体に配列せず、函状主体に収納して連結していること。

(二) 仮に、特許出願後に要旨の変更があつた場合、要旨変更の手続補正書を提出したときに特許出願があつたものとみなす見解に立ち、本件特許発明は訂正明細書が特許庁に提出された昭和三十四年一月二十二日に出願されたものとみなしても、本件物件は本件特許権の出願の日前の出願に係る被告の有する登録第五七九、二〇一号実用新案(昭和三十三年八月十二日出願)及び被告が実施許諾を受けている登録第五七九、二〇四号実用新案(昭和三十三年七月八日出願)の実施品であるから、たとえ本件特許発明に牴触するとしても、被告の本件物件の販売が本件特許権の侵害となるいわれはない。

(三) 仮に、前記各主張が理由がないとしても、本件物件は三木織部及び山田続が本件特許権の出願の日とみなすべき昭和三十四年一月二十二日より以前である昭和三十三年八月頃からみずから考察し、その頃から引き続き善意で、これを製造販売し、被告は、善意で、昭和三十三年八月から同年十月までは三木から、また、同年十月から昭和三十五年五月までは山田から買い受けて販売してきたものであるから、被告は本件物件の販売について先使用による通常実施権を有するものである。

(四) 仮に、叙上の主張がいずれも理由がなく、前記訂正明細書の提出が要旨の変更にあたらない場合においても、本件物件は本件特許発明と対比し、前記(一)の(4)から(6)の点において相違し、他方、手首に自由に着脱できることと、鈑状永久磁石のN・S極を交互にしている点で一致するけれども、右の一致点はいずれも公知の事項に属し、したがつて、本件特許発明の必須要要件ではないから、本件物件は本件特許発明の技術的範囲に属しない。

(五) 仮に、本件物件が本件特許発明の技術的範囲に属するとしても、本件物件を本件特許権の出願の日より前の出願に係る被告の有する登録第五六六、五九八号実用新案(昭和三十二年四月三日出願)と対比するに、右登録実用新案における「窓孔21」を欠如するのみで、他は全部一致し、また、右実用新案には永久磁石のN・S極を交互にすることの記載はないが、これは前記のとおり出願前公知に属していたものであり、これを要するに、本件物件は右登録実用新案の実施品というべきであるから、この点からしても、本件物件は本件特許権を侵害するものではない。なお、右実用新案が原告主張の説明書訂正の結果、登録されたことは認めるが、これは「装飾体」自体の性質を明確にしたに止まり、要旨を変更するものではない。

七  同第七項の事実のうち、原告が昭和三十四年七月二十四日から昭和三十五年三月二十八日まで本件特許発明につき仮保護の権利を有していたことは認めるが、その余は否認する。

八  仮に、被告の本件物件の販売が本件特許権を侵害し、不法行為を構成するものであるとしても、本件特許はその出願前に刊行された公知文献及び公知の事実からみて、旧特許法(「大正十年法律第九十六号特許法」をいう。以下同じ。)第一条の特許要件を具備しないものであり、また、旧特許法第八条の先願主義にも反するものであるから、本来拒絶査定されるべきものである(被告は、本件特許権に対し昭和三十五年十二月二十九日特許無効審判の請求をし、同事件は昭和三五年審判第六一二号事件として、現に特許庁に係属中である。)ところ、これが違法に特許されたことを奇貨とし、しかも、本件特許権より先願にあたる前記登録第五六六、五九八号実用新案(右実用新案は、当初、昭和三二年特許願第八一八一号をもつて、特許出願したのを、のちに旧実用新案法(「大正十年法律第九十七号実用新案法」をいう。)第五条の規定により、実用新案登録出願に変更して、登録されたものである。)の実施品である本件物件につき、その製造販売が本件特許権を侵害することを理由に、被告に対し損害賠償請求することは権利の乱用というべきであり、許されない。

第三  証拠関係≪省略≫

理由

(原告及び大阪エマンテの有する権利)

一  成立に争いのない甲第五号証及び乙第六号証の各記載によると、本件特許権(その特許番号、発明の名称及び出願、出願公告、登録の各年月日が原告主張のとおりであることは、当事者間に争いがない。)は、田中正市及び崎山晃が昭和三十二年四月二十七日共同出願したものであり、原告は、昭和三十四年二月二十日、同人らからその特許を受ける権利を譲り受け、同年三月七日、特許庁長官に対し出願人名義の変更届出をしたこと、及び大阪エマンテは、昭和三十五年三月二十九日、原告から右特許を受ける権利を譲り受け、同年四月二十七日、特許庁長官に対し出願人名義の変更届出をしたが本件特許権登録の日の後の昭和三十五年十二月二十八日、田中正市に右権利を譲渡し、昭和三十六年四月五日、その旨の登録を了したことを認めることができ、右認定の事実によると、原告は、昭和三十四年七月二十四日から昭和三十五年三月二十八日までの間及び同年四月一日から同月二十六日までの間、本件特許発明につき仮保護の権利を有していたものであり(昭和三十五年三月二十九日にされた原告から大阪エマンテヘの本件特許を受ける権利の譲渡は、旧特許法第十二条の規定により譲渡の日から直ちに効力を生じたものということができるが、特許法施行法第二十二条の規定によれば、現行特許法施行前にした特許出願後における特許を受ける権利の承継であつて、現行法施行の際現に特許庁長官に届出をしていないものは現行特許法の施行の日である昭和三十五年四月一日に効力を失うものとされ、原告から大阪エマンテヘの本件特許を受ける権利の譲渡について特許庁長官への譲渡の届出がいまだされていなかつたから、現行特許法の施行の日である昭和三十五年四月一日から右譲渡の届出がされた前日の日である同年四月二十六日までは、本件特許を受ける権利は、なお、原告が有するものである。なお、原告が昭和三十四年七月二十四日から昭和三十五年三月二十八日まで本件特許発明につき仮保護の権利を有していたことについては、当事者間に争いがない。)、また、大阪エマンテは、昭和三十五年三月二十九日から同月三十一日までの間及び同年四月二十七日から本件特許権の登録のあつた日の前日である同年十二月十四日までの間、本件特許発明につき仮保護の権利を、昭和三十五年十二月十五日から同月二十八日まで間の、本件特許権を有していたものということができる。

(本件特許権の特許請求の範囲)

二 本件特許権の特許公報の「特許請求の範囲」の項の記載が原告主張のとおりであることは、当事者間に争いがない。

被告は、本件特許の特許出願の願書に最初に添附された明細書の「特許請求の範囲」の項の記載は右と異なるものであり、右「特許請求の範囲」の記載は、昭和三十四年一月二十二日付訂正明細書により訂正されたものであるところ、この訂正は要旨を変更するものである旨主張するから、審究するに、本件特許公報中の「特許請求の範囲」の項の記載が昭和三十四年一月二十二日付訂正明細書により訂正された「特許請求の範囲」の項の記載と同一であり、右訂正前の出願当初の明細書の「特許請求の範囲」の項の記載が被告主張のとおりであることは当事者間に争いがないところ、この訂正前と訂正後の明細書における特許請求の範囲の記載を対比すると、(1)前者において、「フエライト磁石の様な少くとも一、五〇〇乃至二、〇〇〇エルステツド以上の抗磁力を有する鈑状の永久磁石」とあるのを、後者において、単に、「鈑状の永久磁石」と訂正し、(2)前者において、「手首、脚首又は腰部に自由に着脱する様鎖又はビニール等を以てバンド状に構成し」とあるを、後者において、「人体に自由に着脱し得る様適当の材料を以てバンド状に構成し」と訂正し、(3)前者において、「N、S極を交互に着磁して此れを装着した人体に磁力線を滲透する様にした血行調整物体」とあるのを、後者において、「N、S極を交互になる様にした磁気バンド」と訂正したことは明らかであるが、前掲乙第六号証中の昭和三二年八月十三日特許庁あて差出の明細書(被告主張の出願当初の明細書がこの明細書を指称するものであることは、本件口頭弁論の全趣旨に徴し明らかである。)中の「発明の詳細な説明」の項の記載によると、本件特許発明は、人体組織中に磁力線を通すことにより、血液中に起電力を誘起し、血液循環を促進させ、これにより、血液循環を促進させ、これにより、血液循環の障害によつて起こる各種の疾病を治療することを目的とし、この課題を解決したものであるが、この点は同号証中の訂正後の明細書の「発明の詳細なる説明」の項にも全く同趣旨の記載がみられるから、発明の目的は両者同一であり、特許請求の範囲の記載における前記の各訂正点のうち、前者において抗磁力を限定したの点については、これを限定した理由について明細書に何らの記載がないこと、及び前記発明の目的並びに鑑定人(省略)の鑑定の結果から認められる本件特許発明の使用の対象が人体で、個人差があり、抗磁力の下限を定めることが極めて困難である等の事実に徴すれば、この点の記載には格別の意味があるものとは認められず、単に希望値を記載したものとみるのが相当であるから、右の訂正は要旨を変更したものとはいえず、(2)の訂正点のうち、前者における「手首、脚首又は腰部」を、後者において「人体」と訂正した点は、前記発明の目的に照らして考えれば、前者の「手首、脚首又は腰部」の記載は単なる例示的記載とみるべきであるから、右の訂正をもつて要旨の変更と認めることはできないし、また、前者の「鎖又はビニール等」とあるを、後者において「適当の材料とした点が要旨を変更したものでないことは多言を要しない。次に、(3)の訂正点のうち、前者において、「血行調整物体」とあるのを、後者において、「磁気バンド」と訂正した点は形式的にみれば相違するが、前者における「血行調整物体」がバンドであることは明細書の「発明の詳細な説明」の項の記載から明らかであり、他方、後者における「磁気バンド」も前記発明の目的に照らし、血行調整の目的に使用されるものであるから、両者は実質上同一のものというべく、また、その余の形式的な訂正点は両者を対比すると単なる表現の違いで、実質的には全く同一のことを示したものと認められるから、この点も要旨を変更したものということはできない。したがつて、要旨の変更を理由とする被告の右主張は採用の限りでない。

(本件特許発明の要部)

三 前記認定の本件特許発明の特許請求の範囲の記載に成立に争いのない甲第一号証(本件特許公報)及び前掲乙第六号証の各記載を総合すると、本件特許発明は磁気バンドの構造に関するものであり、その要部は、

(1)  鈑状の永久磁石多数個をN、S極が交互になるように配列すること、

(2)  これら永久磁石の配列は、人体に自由に着脱しうるよう適当の材料をもつてバンド状に構成すること、

の各要件を結合した点にあることを認めることができる。

なお、被告は鈑状の永久磁石の配列をN、S極が交互になるようにすること、及びこれを手首に自由に着脱できるようにすることは、本件特許出願前において公知であるから、これらの要件は本件特許発明の必須要件を構成しない旨主張するが、この点に関する(証拠―省略)は、原告代表者田中正市本人尋問の結果に照らし、直ちに措信できず、他にこれを認めるに足りる証拠がないばかりか、仮に特許請求の範囲中に公知の部分があつても、これと他の要件(それが公知であるかどうかを問わない。)を結合することにより、従来得られなかつた特異な効果を招来し、これが発明の目的である場合には、この公知部分もまた発明の必須要件を構成するものと解すべきところ、前認定の本件特許発明の目的、効果に照らすと、本件特許発明の要部は前判示のとおり解するを相当とするから、被告のこの主張も採用するに由ない。

(本件物件は本件特許発明の技術的範囲に属するか。)

四 被告の販売する本件物件(商品名「スチール磁気バンド」)の構造が別紙第一目録記載のとおりであることは当事者間に争いがなく、これによると、本件物件は磁気バンドであり、

(1)  内面にN、S極を着磁した有磁性装飾体を複数個配列していること、

(2)  右有磁性装飾体は、函に収納され、人体に自由に着脱しうるよう伸縮自在の連結機構を有する時計バンドに連結されて、配列されていること。

の構造を有することは明らかであり、また、成立に争いのない甲第三号証の記載によると、本件物件は右の構造により、前記認定の本件特許発明の目的、効果と同一の目的、効果を達しうるものであることを肯認することができる。

しかして、本件物件の右(1)及び(2)の構造と本件特許発明の前記各要件とを対比するに、本件物件の(1)の構造中、有磁性装飾体は内面のみにN、S極を着磁したものではあるが、それが本件特許発明における「鈑状の永久磁石」に当たることは明らかであるところ、永久磁石の内外面に着磁することは本件特許発明の明細書に何らの記載がなく、もとより本件特許発明の要件と認めることはできず、その余の点は本件特許発明(1)の要件と全く一致するから、本件物件の(1)の構造は本件特許発明の要件(1)を具備するものであり、また、本件物件の(2)の構造中有磁性装飾体が函に収納されている点については永久磁石を函に収納するかどうかは、本件特許発明の要件外のことに属し(なお、本件物件において、永久磁石を函に収納する構造が、磁力線を函外に及ぼす効果に何らの影響をも与えていないことは、前認定のとおり、本件物件が本件特許発明と同一の目的、効果を達することからみて、明らかである。)、また、本件物件が人体に着脱しうるようバンド状に構成されていることはその構造自体から明らかである(なお、被告は本件物件のバンドの構造が連結機構である点を、本件特許発明との相違点として挙げるが、連結機構の点は本件特許発明の要件外の事項であるから、この連結機構があるからといつて、本件特許発明の技術的範囲に属しないものといいえないことは多言を要しない。)から、本件物件は本件特許発明の要件(2)をも具備するものというべきである。

叙上説示のとおり、本件物件は、本件特許発明の要件のすべてを具備し、同一の目的を達しうるものであるから、本件特許発明の技術的範囲に属するものというべきである。

被告は、本件物件は本件特許権の出願より前の出願に係る登録第五六六、五九八号実用新案の実施品であるから、本件特許発明の技術的範囲に属するとしても、本件特許権の侵害とならない旨主張するが、仮に本件物件が右登録実用新案の実施品であるとしても、本件特許権が右実用新案権に牴触する場合に限り、右実用新案権は本件特許権に優先し、本件物件の製造販売は本件特許権を侵害するものでないといいべきところ、本件特許権が右実用新案権に牴触するとの点については何らの主張がないばかりか、この点の主張があるものと善解してみても、成立に争いのない乙第一号証中の右実用新案の公報中の「登録請求の範囲」の項の記載によると、被告主張の登録実用新案は有磁性バンドの構造に関するものであり、右登録請求の範囲の記載と本件物件とを対比するに、右登録実用新案においては、有磁性装飾体取付用函主体1のカバー4には、中央に有磁性装飾体3の隆起部19に対応した大きさの窓孔21が穿設してあるに対し、本件物件においては右の窓孔を欠く点(このことは被告の認めて争わないところである。)において、両者の構造に差異があるところ、前掲乙第一号証によると、右実用新案の説明書中「実用新案の説明」の項には、有磁性装飾体の隆起部の表面に文字、図形等を表示することが記載され、図面にもこの部分に「一万」の文字が表示されていること、及び同項中に、本考案が有磁性装飾体による装飾的効果と磁気効果の一挙両得の効果を生ぜしめることを目的としたものであるとの記載が存することがそれぞれ認められ、これらの事実に、鑑定人(省略)の鑑定の結果を総合すると、前記窓孔を穿設することは右実用新案の必須の構成要件と認むべきであり、本件物件が右の窓孔を欠くことは前認定のとおりであるから、本件物件は右の必須の要件を欠く点において、右登録実用新案の技術的範囲に属しないものであり、その実施品と認めることはできない。したがつて、被告の前記主張は、その余の点を判断するまでもなく、理由がないといわざるをえない。

なお、被告は前記のほかに、本件物件が本件特許権を侵害しない理由として、答弁等第六項の(一)から(三)において縷々主張するが、右はいずれも本件特許発明につき要旨の変更があつたことを前提とするものであるところ、要旨の変更がなかつたことは前説示のとおりであるから、これらの主張はいずれもその前提を欠くもので、その余の点を判断するまでもなく失当といわなければならない。

(損害賠償請求について)

五 本件物件が本件特許権を侵害するものであることを前説示のとおりであるところ、(証拠―省略)を総合すると、被告は、原告会社の元社員を雇用し、昭和三十三年八月頃から昭和三十五年十二月二十八日までの間において、本件物件を日本磁気株式会社、有限会社山田製作所等に下請製造させ、これを販売していたこと、並びに昭和三十四年四月中旬頃、原告から、本件特許発明につき出願公告の決定があつた旨及び本件物件が本件特許発明を侵害するものであることについて警告を受けたことをそれぞれ認定することができ(中略)叙上の事実に照らすと、被告は本件物件が原告及び大阪エマンテの有する本件特許発明の仮保護の権利並びに大阪エマンテの有する本件特許権を侵害するものであること、又は侵害するかも知れないことを知りながら、昭和三十四年七月二十四日から昭和三十五年十二月二十八日までの間において、あえて本件物件を製造、販売したものと認めるを相当とするから、被告は右侵害行為により、原告及び大阪エマンテに対して加えた損害を賠償すべき義務あるものというべきである。

しかして、(証拠―省略)を総合すると、原告及び大阪エマンテの販売数量は昭和三十四年八月頃から減少を生じ、同年十月頃に至り激減したが、右は被告の著しい侵害行為によるものと認めることができるから、もし、被告の右侵害行為がなかつたならば、原告及び大阪エマンテは被告が販売した本件物件の数量に相当する数量の原告製品(本件特許発明の実施品)を販売することができたものと認めるのを相当とするところ、前掲乙第九号証の記載及び前記証人(省略)の証言中同証言により引用された昭和三十七年十月十三日付の被告提出の準備書面添附の一覧表(昭和三十四年七月二十四日以降昭和三十五年五月末日迄の間のスチール磁石バンドの発売出荷並びに返品一覧表)の記載によると、被告は別紙第二目録(販売数量一覧表)記載のとおり昭和三十四年七月二十四日から昭和三十五年三月二十八日までの間及び同年四月一日から同月二十六日までの間に、少なくとも本件物件合計七千七百九十一本をまた、昭和三十五年三月二十九日から同月三十一日までの間及び同年四月二十七日から同年十二月二十八日までの間に、少なくとも本件物件合計三千六百本を販売したこと(なお、上記期間における返品総数は、同期間における販売総数を上回つているが、これは上記期間前の販売品の返却があるためで、これを販売先別にみると上記認定のとおりである。)を認めることができ、(中略)また、原告代表者田中正市本人尋問の結果によると、上記期間中、原告及び大阪エマンテは本件特許発明の実施品一本当りについて、少なくとも金百円以上の純利益をあげていたことを認めることができるから、原告は自己が本件特許発明につき仮保護の権利を有していた昭和三十四年七月二十四日から昭和三十五年三月二十八日までの間及び同年四月一日から同月二十六日までの間において、前記被告の侵害行為がなければ、同期間における被告販売の本件物件の数量と同数の本件特許発明の実施品を販売しえたことにより得べき金七十七万九千百円の利益を失い、同額の損害を蒙つたものというべく、また、大阪エマンテは自己が本件特許権及び本件特許発明の仮保護を有していた昭和三十五年三月二十九日から同月三十一日までの間及び同年四月二十七日から同年十二月二十八日までの間において、被告の前記侵害行為がなければ、同期間における被告販売の本件物件の数量と同数量の本件特許発明の実施品を販売しえたことにより得べき金三十六万円の利益を失い、同額の損害を蒙つたものということができる。

(大阪エマンテの有する損害賠償債権の譲渡について。)

六 成立に争いのない甲第四号証の一、二によると、大阪エマンテは昭和三十七年一月十日被告に対して有する前記期間における被告の侵害行為に基づく損害賠償債権一切を、原告に譲渡し、昭和三十八年十月二十一日被告到達の内容証明郵便でその旨の通知をしたことを肯認することができる。

(権利乱用の主張について)

七 被告主張の公知事実については、前認定のとおり、これを認めるに足りる証拠はなく、また、前説示のとおり本件物件は被告主張の登録実用新案の実施品ではないから、被告の主張はその前提事実においてすでに理由がないばかりか、他に特段の事情の認められない本件においては、被告主張の事実だけから直ちに原告の本訴請求が権利の乱用になるものとは認められないから、いずれにしても、被告の右主張は採用するに由ない。

(むすび)

八 叙上の理由により、被告は原告に対し、原告及び大阪エマンテの有していた本件特許発明の仮保護の権利並びに大阪エマンテの有していた本件特許権を侵害したことによる損害賠償として合計金百十三万九千百円及びこれに対する不法行為の後である昭和三十七年三月二十日から支払ずみに至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を支払うべき義務あるものというべきであるが、原告のその余の請求は理由がないものといわざるをえない。

よつて、原告の請求は主文第一項の限度で理由ありとしてこれを認容し、その余の請求は失当として、これを棄却することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法第九十二条、第八十九条を、仮執行の宣言について同法第百九十六条第一項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。(裁判長裁判官三宅正雄 裁判官武居二郎 佐久間重吉)

第一目録

図面説明書

上辺を水平とし、その両側1、1を下向きに折り曲げ、さらにその両側壁の下端縁2、2を内方向に水平に折り曲げた上部構成片Aと、この上部構成片Aに対応する幅員を有し、かつ、両側3、3を上方向に折り曲げ、さらにその左右両側壁の上端縁4、5を内方向に水平に折り曲げるとともに、その水平部の各端部に切欠部6、6を形成し、かつ底部の両端を突出させて折曲片7、7を形成した下部構成片Bとの各内部に、両端部8、8を斜上方に折り曲げた板ばねC、Cを向きを異にして、それぞれ挿入し、また、ほぼU字状の連結子Dの垂直部9のほぼ中央に形成した屈折部10から下半部12を上記下部構成片Bの底板と板ばねCとの間に、また、連結子Dの上半部11を上部上部構成片Aの上板と板ばねCとの間にそれぞれ挿入して、上下各構成片A、Bを位相をずらせて重合させて多数連繋するとともに、下部構成片の各折曲片7、7を起立させ、また、両側壁18、18の上縁にそれぞれ対向するコ字状係止部19、19を一体的に形成した函主体F内に、内面aにだけ、N、S両極を着磁した鈑状永久磁石13を収納し、かつ上記係止部19、19にわたつて板ばね17を挿入するとともに、この函主体Fに両側14、14及び舌片15、15を下面に対称的に突出させたカバー16を冠着して有磁性装飾体を構成し、その函主体Fのコ字状係止部19、19の上壁20、20と板ばね17との間に上記連結子D、Dの上半部11を挿入して複数個の有磁性装飾体EをN、S極を交互にして間隔をおいて上記上下構成片A、Bに連結したものである。

第二目録(省略)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例